関市の水道課職員の収賄事件(その2)
2013-05-30
市議会全員協議会の後に市当局から提供された資料は過去4年分。
その4年間の発注先には、大きな偏りがありました。
修繕費(配水及び給水費)の工事実績は、
それより以前は何も問題がなかったのでしょうか。
そこで、市水道部に連絡を取り、それ以前の資料を請求して、
平成11年度~24年度の14年間の資料を入手しました。
「14年間」というのも中途半端ではないかと思われるかもしれませんが、
これは次のような歴代市長の任期におおむね対応しています。
第4代 後藤昭夫市長(3期目) 平成11年9月22日~平成15年9月21日
同 (4期目) 平成15年9月22日~平成19年9月21日
第5代 尾藤義昭市長(1期目) 平成19年9月22日~平成23年9月21日
第6代 尾関健治市長(1期目) 平成23年9月22日~現在
この期間の41社分のデータを調べました。
14年間の推移を見ると、水道の緊急修繕工事はずいぶん増えています。
件数では、最少がH12の19件、最多がH22の208件。
金額では、最低がH13の5,991,635円、最高がH22の63,413,820円。
件数、金額共におよそ10倍以上になっています。
修繕の増加は、水道管の老朽化の進行が原因と考えられます。
年度ごとの受注業者数は4~18社とばらつきがあり、
やはり、発注先に偏りがありました。
そして、かつては別の事業者に市の発注が偏っていたこともわかりました。
平成11~24年度の14年間のうちに、
単年度で300万円以上の受注実績のある業者が6社あります。
6社の受注工事の金額の推移をグラフにしてみました。
修繕費(配水及び給水費)14年間推移(6社)
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グラフ中のB社が、今回の贈賄側の業者です。
H11年度のB社は、2件(6.06%)、340,600円(4.32%)でした。
B社の受注の伸びは、H12から始まっています。
それがいったん停滞したあと、
H19からH22の4年間に大きな飛躍を迎え、
その後に下降し始めています。
B社と共に近年、突出しているのがC社です。
C社はH17から大きく伸びています。
H17~H19の3年間とH24は、B社をいくらか上回っています。
気になる推移を示しているのがA社です。
過去4年間の実績では特に目立たなかったA社。
H11年度に、A社の実績は飛び抜けていました。
その年度の33件の工事のうち12件、36.36%を受注し、
2位の業者(グラフの6社には入っていない)の3倍の件数です。
金額では5,787,586円ですが、これはその年度の修繕費の73.39%を占めます。
A社の受注額はH11年度をピークに下降し、
上がり下がりはありますが、
H20年度にはゼロになってしまいます。
H21年度以降、上昇に転じますが300万円を超えるには至っていません。
修繕費全体の額が大きくなっている中では目立たない状況です。
これらの推移はいったい何を意味するのでしょうか。
逮捕された職員は「平成7年4月から本年3月まで、関市水道部水道課主任技手として、関市が発注する水道施設維持修繕業務の発注等に権限を有していたものである」(関警察署の報道発表)とのことです。
しかし、14年間の推移は、1人の主任技手の作為というだけでは割り切れない「歪み」を感じさせるものではないでしょうか。
「奥深い背景がある」と言う人もいます。
昼夜を問わずおこなわれる水道の緊急修繕工事は、随意契約です。
随意契約を公正におこなおうとする意思と
その意思を支える仕組みの大切さを、
改めて痛感させられます。
(その3につづく)
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