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「長生きするならカネをだせ」

2013-06-08

「同情するなら金をくれ」というテレビドラマの台詞がはやったのは1994年。

それをまねて言えば、今の世の中は、「長生きするなら金をだせ」ということでしょうか。

国保税についての私の説明を聞いたある人は、

「『長生きはするな』ってことやな・・・」

と言いました。

私もそう受け取っています。

国は、高齢者の長寿を祝うどころか、長寿を罰するかのような制度をつくりました。

今年度から導入された国民健康保険の「特定継続世帯」のことです。

80歳以上の高齢者のいる世帯の一部(特定継続世帯)に負担増を上乗せするもの。

どうしてこんな制度をつくるのか?


「特定継続世帯」という言葉は、今年、新しく作られたものです。

3月末、国で地方税法の改正が成立したのを受けて、市長が専決処分で国保税条例を改正しました。

新たに加えられたのが「特定継続世帯」への国保税の「軽減措置」です。

特定継続世帯に対しては、国保税の世帯別平等割を四分の一軽減することが定められました。

しかし、「軽減」をよそおいながら、実質は負担増になります。

特定継続世帯となる前の5年間、二分の一だった軽減率を、四分の一に縮小するという話だからです。

対象は、80歳以上が同居する二人世帯の国保加入者です。


 

話は五年前にさかのぼります。

2008年に後期高齢者医療制度が導入され、75歳以上の高齢者が国保から切り離されました。

その時点で75歳の夫と69歳の妻の世帯の場合を例にしてみます。

夫は後期高齢者医療制度に移り、妻は1人だけ国保に残ることになりました。すると世帯の医療保険の負担が一気に増えることになります。

それではあまりに負担増が重すぎると言うことで、妻の国保税の世帯別平等割の部分を二分の一に軽減することになりました。

この世帯を「特定世帯」と名付けたのです。

ただし、この軽減措置は「5年間」と期限がつけられました。

もともと、後期高齢者医療制度が、高齢者に負担増を求める制度として導入されたので、「5年くらいでいいだろう」ということだったのでしょうか。

その5年間が今年の3月末で終わったのです。

夫は80歳になり、妻は74歳になっていて、軽減措置がなくなれば妻は国保税負担が増えます。

負担増を防ぐには、「特定世帯」の5年間を単に延長すればよかったはずです。ところが、「特定世帯」の5年間が終わった世帯は「特定継続世帯」とされ、軽減期間を「3年間」に限り延長するとともに、軽減措置が縮小されました。ですから、妻の国保税負担が増えることになるのです。

歳をとったのだから安くするというのならわかりますが、逆に負担を重くするというのです。

まったく理解できません。


いったいどうしてこんなことを国は決めたのでしょうか。

いろいろ調べていたら、厚生労働省のある文書が見つかりました。

「平成25年度税制改正(地方税)予算要望」という文書で、

「№10-1」ページにあります。(↓)

http://www.cao.go.jp/zei-cho/youbou/2013/doc/25y_mhlw_t_02.pdf


この文書の「10-1」頁によると、

「特定世帯に係る世帯割半額の措置について、減額割合を現行の半分(1/4)として3年間の延長を行う。」

として、その「要望理由」を

「5年経過しても、なお特定世帯である国保世帯が約50万世帯残っていることを踏まえ、軽減割合を縮小(現行の半分)した上で、特例期間を3年間延長する必要がある。」

と説明しています。

そのねらいは、「10-2」頁を見ると、「政策体系における政策目的の位置付け」として、

「適正かつ安定的・効率的な医療保険制度を構築すること」

とされています。

厚労省による「予算要望」の説明は、これでおしまい。

この要望に沿うように、地方税法が「改正」されたようです。


「安定的・効率的な医療制度を構築する」という言葉は、今の状態が、「不安定」で「効率的でない」ということを示しています。

「不安定」というのは、国の財政が苦しいと言いたいのです。

「効率的でない」、つまりムダがあるというのは、軽減をしすぎているということを意味します。

それで、「軽減割合を縮小(現行の半分」ということにし、延長は「3年間」とするのが「適正」だと言っているようです。

80歳以上の高齢者のいる世帯への負担増の、どこが「適正」なのでしょうか。

しかも、あと3年長生きすれば、軽減措置がなくなりますから、

さらに負担増になる世帯が出てくる可能性があります。


こんなひどい制度を、実施することに賛成できません。

そこで、5月の臨時会で、日本共産党関市議員団は、市長の専決処分を承認する議案に反対し、国の誤りを、市条例で是正するよう求めました。

厚労省によると、特定継続世帯になるのは、全国で「50万世帯」です。

関市ではどうなるのか、臨時会で質問しました。

「多めに見積もって、270世帯」

とのこと。

その世帯への軽減率をこれまでどおりにするのにいくらかかるかを尋ねると

「160万円」

という答弁でした。

「市が負担するその160万円は、とても価値のある160万円になる」

と私は思い、議会でもそう言いました。

法律上の軽減率を下回るのは違法ですが、上回るのは違法ではありません。ぜひ、市の条例を直し、少なくとも、あと160万円の軽減をしてほしいと思います。

そして、国に対して、「こんなやり方は間違っている」と言うべきではないでしょうか。


ところで、この条例改正は、市長による「専決処分」によっておこなわれました。

専決処分とは、文字通りで、市長が議会にはからずに、自分で決定をしたという意味です。国の法律が改正されそれにあわせて自治体の条例改正する場合で、定例会がおこなわれるのを待っていては間に合わない場合などに専決処分が認められており、次の議会で承認を求めることになっています。

法律通り市長は条例を「改正」したのですから、問題はないでしょうというわけです。

この専決処分が議会で否決された場合でも、専決処分(市長の決定)そのものは有効です。ここが普通の議案とは違うところで、専決処分の否決は、市長の政治的責任を問うというものです。

今回の場合、もし、議会が市長の専決処分を否決したら、

市長は、条例を見直すか、それとも議会の意向をつっぱねてそのままにするか、

政治的判断を求められるということでした。

しかし、残念ならがら、特定継続世帯の軽減率を定めた専決処分がそのまま承認されました。


関市は今年度、国保税を平均15%引き上げることになりました。(詳しくは、このブログの5/18付記事に掲載の『新しい関』2013年5月号外をごらんください。)

それに加えて、特定継続世帯の方には、負担増が上乗せされることになります。

6月から国保税徴収が始まります。


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