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自民党に入った美濃加茂市長

2013-06-23

若い市長の誕生が注目を浴びています。

岐阜県の私が住む地方では、関市、各務原市、美濃加茂市と、相次いで若い市議が市長となる例が続いています。

今月初め当選した美濃加茂市長は、現役市長では全国最年少の28歳です。変革への願いが背景にあると思いますが、20代の市長の誕生にはびっくりです。

金曜の朝刊に、その美濃加茂市長が、「当選後の3日に(中略)自民党に入党していた」と書いてあり、更にびっくりしました。

中日新聞の「私はこれで自民系に勝ちました」という参院選特集記事です。最近の首長選挙で、美濃加茂市長、静岡県知事、名古屋市長が、「なぜ好調・自民に勝てたのか」をさぐり、国政選挙では自民が勝つだろうという内容。

藤井浩人・美濃加茂市長は、「政党は関係ない。候補者の顔がみえる選挙で、1人1人の市民に思いを伝えることができた」と選挙を振り返っています。その選挙の投開票は6月2日でした。翌3日、マスコミが「自民系」候補との一騎打ちを制した藤井氏の「日本一若い市長の誕生」を伝え、期待と興奮をかきたてていたその日、当のご本人は、こっそり自民党に入党していたらしいのです。

記事の最後の部分に、こんなふうに書かれています。

―藤井さんは「(来月の参院選は)自民党優位のムードが先に立ち、九十六条の改憲など争点が問われる選挙にならないのでは」と話した。自身は当選後の三日に「自民の強い土地柄。より多くの人の協力を得たい」として自民に入党していた。(中日新聞2013/06/21社会面31頁)


美濃加茂市長は、市議のとき一人会派「真摯(しんし)」を名乗り、自民系会派とは一線を画していました。それが自民系候補を倒して市長に当選したとたんに自民党入りとは、よくわかりません。

入党の動機は、「より多くの人の協力を得る」ことのようですが、自民党の力を借りないと市長としてやっていく自信がないという告白のように、私には感じられます。同時に、自民党という政党は、お互いの力を利用し利用される、互助会のような集まりなのだなと思えてきます。

落選した自民党推薦の元副議長はもちろんですが、無所属で当選した翌日に自民党に入党した若い市長も、自民党という組織の掌の上という印象を抱かざるをえません。

結果的に、「無所属の市民派」に期待した有権者は、だまされてしまったということになるのではないでしょうか。


22日の中日新聞岐阜県版は、自民党岐阜県連が美濃加茂市の県議を二ヶ月間の謹慎処分にしたと伝えています。理由は、美濃加茂市長選の最終盤に、同県議が、党推薦候補以外の陣営=藤井陣営の総決起大会に出席したというものです。

政党としては、当然の処分だと思いますが、藤井さんがすでに自民党に入党しているのですから、締まりのない話になってしまいました。


政党は、政治的な考え方が基本的な部分で一致する人の集まりです。

日本共産党の場合、それは「綱領」という文書にまとめられています。選挙の際の「公約」もそうです。基本的な重要な問題に対する考え方で一致できるかどうかが大切なことで、「(自分に)協力してもらうため」に入党するというのは変ではないでしょうか。まして、首長なら選挙に際してあらかじめ立場を明らかにしておくべきです。

たとえば自民党改憲草案に、美濃加茂市長は本気で賛成なのでしょうか。九十六条の改憲をどう考えているのでしょうか。原発再稼働もTPPも消費税もみんな賛成ということでしょうか。そういうことを知りたいと思いました。

美濃加茂市長の当選翌日の自民党入党は、驚くべきニュースだと思いますが、それがどうして記事の片隅に小さくさらりと書いてあるだけなのか解せません。(私が知らなかっただけ?)

「どっちでもよい」というような話ではないはずです。


「自民党優位」が揺るがないのは、選挙制度に大きな原因があります。このことにマスコミはあまり触れません。

昨年の総選挙では、小選挙区制度のおかげで自民が圧勝し、有権者の民意を大きくゆがめる制度の欠陥があらわになりました。一票の格差だけが問題なのではありません。死票があまりに多く、有権者の声が正しく反映されないのです。

たとえば、A,B,Cの3人が立候補して1人が選ばれるとします。

A40% B35%、C25%

という得票率なら、Aさんが当選し、Bさん、Cさんに投票された60%が死票になります。

そしてこの選挙の投票率が60%だったとしたら、Aさんは(有権者60%)×(得票率40%)=(24%の得票)、つまり、有権者全体の四分の一以下の支持を受けただけということになるのです。 

候補者が多くて票が割れれば、もっとすくない得票で当選者が決まり、死票はさらに増えます。

死票や棄権票が増えるほど、全体から見て少数の考え方(あるいは利益)に偏った政治権力が成立してしまうというわけです。


参院選でも衆院選と同じだと、森英樹さんが先日の憲法学習会の講演で指摘していました。(森英樹さんの講演については、6月17日付の記事をごらんください。カレンダーをクリックすると見られます。)

参院選では選挙区と比例代表の二つの投票があります。参院選の選挙区は47都道府県ごとに設定されていますが、そのうち31選挙区が「1人区」で、衆院の小選挙区と同じだとのことです。大政党に有利なことは言うまでもありません。これが大きく民意をゆがめる結果になります。

民意をゆがめる選挙制度のもとで誕生した権力が、暴走したら大変です。

憲法の行方も、とても心配なのです。


日本共産党は比例代表を中心にした制度に変えるべきだと主張しています。

ところが、自民党や民主党は、小選挙区を広げよう、比例代表を減らそうという主張をします。

政治を国民のものにするために、どちらがよいでしょうか?


私たちは、「自民党優位」と言われても、決してあきらめません。

「政党の政策をよく見極めてください」、「日本共産党の政策を見てください」と訴えて、がんばりたいと思います。


それにしても、首長が当選翌日に入党とは、想像もつかない話でした。


関連記事のリンク

さわたり通信 「美濃加茂市長の逮捕と自民党による除名処分」

(2014年7月8日付)

http://sawatarinaoki.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

〔2014年7月9日追記〕


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