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新たな神話のはじまり―原子力規制委員会と原発再稼働

2013-06-30

「原発の真下に活断層が走っていても、その活断層が地表にあらわれていなければ、原発を設置してもよい。」

この考えをどう思いますか?

私の考えではありません。原子力規制委員会の考えです。

福島原発事故の後、これまでの原子力行政を見直すとしてつくられたはずの原子力規制委員会は骨抜きです。同委員会による原発の「新安全基準」を見ればわかります。

「地震による揺れに加え地盤の『ずれや変形』に対する基準を明確化」するとして、「Sクラスの建物・構造物等は、活動性のある断層等の露頭が無い地盤に設置」という基準を示しています。

これは、原子力規制委員会及び新安全基準骨子案の概要」(平成25年2月 原子力規制委員会・原子力規制庁)の27頁からの引用です。

活断層が地表に見えなければ原発OKとは、あまりにひどすぎて、開いた口がふさがりません。


「Sクラス」とは、耐震設計上最も高い水準の性能がもとめられるという意味です。「Sクラスの建物・構造物」とは、原子力圧力容器等の重要施設のこと。「活動性のある断層等」とは、主に活断層のこと。「露頭(ろとう)」は、「岩石・地層・鉱床などが地表に露出している部分」です。

つまり、原発の重要施設は地表に活断層が露出していないところに設置するという基準を示したのです。一見すると、これは当たり前のことを言っているようにも思われます。

しかし、こんな当たり前のことが基準になっていることを疑う必要があります。お役所らしい文章です。

当たり前すぎるこの基準は、裏をかえせば、原発の真下に活断層があってもよい、活断層が地表に露出していなければよいということになってしまいます。

安部政権の下で、このような「新基準」が、来月から効力を持つことになります。


活断層が地中にあるのなら、その場所は地表の地盤が割れることがないと、どうしていえるのでしょうか。これが科学者の言うことなのかと、いぶかしく思います。素人からみても、まったくおかしい話です。このような想定の規制では、再び「想定外」の事故がおこってしまいます。

こんなことが、「専門家」の皆さんにわからないはずがないと思います。

「専門家」の意見がが正しいとは限りません。さまざまな仕掛けによって、専門家の見解が政治的にゆがめられてしまい、「原発安全神話」を多くの国民が信じ込まされてきた。そのことが、福島第一原発の過酷事故によって白日の下にさらされました。

「新安全基準」が、部分的には原発の安全強化をはかるものだとしても、その行き着くところは安倍政権の原発再稼働を助けるものだということです。

国民をばかにするのも、ほどがあると思います。


 

一昨日、公明党が「原発ゼロ」を参院選の追加公約にするというニュースを知りました。その言葉だけを見れば、日本共産党と同じ意見になったなと、うれしくなりそうな話でした。しかし、新聞記事の内容を読むと、公明党が「原発ゼロ」を打ち出すのは自民党との違いを出すためだと書いてありました。それでは、困ります。自民党と違うのなら、本当に違うということにしてほしい。

それが単なる選挙向けの話でないのなら、公明党は政権の一翼を担う立場から、原子力規制委員会のおかしな新基準にノーと言い、原発再稼働を止めるべきではないでしょうか。

現実には、6月21日に、自公政権は原発再稼働の手続きを7月からすすめる決定を下したばかりです。公明党は、「既存原発の再稼働は原子力規制委員会が策定した基準を満たすことを前提に『国民、住民の理解を得て判断する』」(産経ニュース6/27)と知って、がっかりしました。


こうして、自民党が参院選の公約にかかげる「原発再稼働」が準備されています。原子力規制委員会と原子力規制庁がすすめる「新安全基準」は、「新たな原発安全神話」のはじまりです。

それを許すわけにはいきません。

原発の安全性は未確立です。福島第一原発の過酷事故は、そのことを最悪の形で示しました。その被害や苦しみは今も続いています。

私は「新安全基準」にも「原発再稼働」にも反対です。そして、「原発ゼロ」に賛成です。これは、国や専門家にまかせておけばよいということではなく、私たち国民の選択が問われている問題だと思います。

「原発ゼロ」の立場をつらぬく日本共産党を、ぜひ応援してください。


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