SSブログ

麻生副総理の暴言

2013-08-02

麻生太郎副総理の”ナチスの手口に学べ”という発言は、これ以上考えられないほどひどいものです。

憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。

(7月29日、麻生太郎副総理のシンポジウムでの発言)

この言葉の意味は、「誤解」の余地がありません。

「ワイマール憲法が変わって」というのは正確ではないし、

「ナチス憲法」は存在しません。

しかし、そういう「言い間違い」を包含しながらも、この言葉が意味しているのは、

「日本国憲法を、ナチスのあの手口に学んで、国民が気づかないうちに変えたい」

という麻生氏の本音です。

この麻生氏の本音は、参院選で、改憲を公約に掲げながら改憲論議に口をつぐんだ安部首相や自民党全体の姿と、矛盾なくぴったり重なっていると思いました。

 


選挙が終わるのを待って発表された軍拡プログラム「防衛大綱中間報告」には、

「敵基地攻撃能力」や「海兵隊機能」の強化

「武器輸出三原則」の事実上の撤廃

がふくまれています。

「専守防衛」をやめて、「集団的自衛権」行使を検討する安倍政権。

従来は憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使に前向きな外交官を内閣法制局長官に起用するというニュースが今日ありました。

憲法9条を死文化する方向へすすめようとしているのです。 

憲法を変えずに、9条を実質無効にするというやり方に気をつけなければならない。

このことは、6月17日の本ブログ(「自民党改憲草案には品がない」)で触れた憲法学習会の講演で、森英樹さん(名大名誉教授)が警告していたことですが、そのとおりになってきています。


さらに、自由民主党 日本国憲法改正草案 では、

基本的人権を「永久の権利」と定めた現行憲法の第97条を削除して、次の条項を新設するとしています。

「緊急事態の宣言」(草案第98条)、「緊急事態の宣言の効果」(草案第99条)

これらの条項の危険な役割も麻生氏の言葉は浮かび上がらせています。

政府が「緊急事態の宣言」をおこなえば、政府が決めたことが「法律」と同等になり、国民はそれに従わなければならず、基本的人権も制限することが可能になるのです。

それは、戦前・戦中の日本が、天皇の名による「詔勅」(しょうちょく。天皇の意思を示す文書)で国民をがんじがらめに縛ったのと、同じ仕組みにほかなりません。


ナチスは、1933年に国会放火事件をデッチあげ、ドイツ共産党を弾圧。それを契機に国民や国家の困難を克服するためとして「全権委任法」(授権法)を成立させ、民主的といわれたワイマール憲法を敗戦まで機能停止に追い込んでいきました。その中で独裁体制を築き、第2次世界大戦に向かい、ホロコーストを起こしていったのです。

(「しんぶん赤旗」8月1日付から抜粋)

麻生氏の言うナチスの「あの手口」とは、こういうものでした。

大日本帝国憲法下の日本における「詔勅」と、ワイマール憲法下のナチスの「全権委任法」は、基本的人権を制約し、国民を従わせるという点で、おなじような役割を果たしました。

自民党の改憲草案にある「緊急事態の宣言」も、同様の意味を持つのです。

自民党改憲草案を擁護する人は、東日本大震災や福島原発事故を例に、「緊急事態の宣言」は必要だと言う人があるかもしれませんが、そういう考えを安易に受け入れることに慎重であるべきです。それは「両刃の剣」であるということを忘れてはなりません。

麻生氏は、まさに最悪の形で、「国防軍」を中心とする自民党改憲草案の本質に触れたのです。

麻生氏が発言を撤回しても、それだけでは終わらない、

深刻な問題の存在を示しています。


 

「しんぶん赤旗」は、8月1日付で

麻生氏”ナチスに学べ” 「気づかぬうちに改憲」と暴言

という記事で、麻生氏の発言を伝えるとともに、次の論評を掲載しました。先ほどの抜粋もこの中からとったものですが、全文を転載しておきます。

政治家の資格問われる

 戦後の国際社会はナチス・ドイツや日本が引き起こした戦争を不正・不義の侵略戦争と断罪し、その蛮行を繰り返さないことを土台に形成されました。そのナチスの手口を肯定することは政治家としての資格が問われる重大な発言です。

 ナチスは侵略戦争を引き起こし、600万人を虐殺したといわれるホロコースト(ユダヤ人などの大量虐殺)など数々の戦争犯罪をしてきました。ドイツは戦後、ナチスの蛮行を徹底して批判し反省する「過去の克服」に取り組むことで国際社会に復帰し、信頼を築いてきました。ナチスを肯定することを戒め続け、今年に入っても、アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所の元看守を検察当局が逮捕するなど、いまなおナチスの戦犯を追及し続けています。

 そのナチスから「学んだら」という麻生氏の発言は異常なものでしかありません。麻生氏が学んだらとするナチスの「手口」とはどのようなものでしょうか。

 ナチスは、1933年に国会放火事件をデッチあげ、ドイツ共産党を弾圧。それを契機に国民や国家の困難を克服するためとして「全権委任法」(授権法)を成立させ、民主的といわれたワイマール憲法を敗戦まで機能停止に追い込んでいきました。その中で独裁体制を築き、第2次世界大戦に向かい、ホロコーストを起こしていったのです。

 自民党の改憲草案は、基本的人権を侵すことのできない永久の権利と規定した現行の日本国憲法第97条を削除。国民の自由や権利を「公益及び公の秩序」で制限できるようにしています。「国防軍」の創設も盛り込んでいます。ナチスの「手口」と自民党改憲草案を比べると、二つは重なり、「戦争する国」への道が浮き上がります。(藤川良太)

(「しんぶん赤旗」2013年8月1日付から転載)

 


【参考記事】

主張 防衛大綱中間報告 「環境」変化で何でもありか

「しんぶん赤旗」2013年7月28日付

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-07-28/2013072801_05_1.html

 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。