ごみ袋1000枚買ってもいい?
2013-09-15
「ごみ袋を1000枚買ってもいいの?」
ある人からそう尋ねられました。
その思いがけない枚数がピンと来なくて、思わず聞き返しました。
「1000枚?」
「ごみ袋の値上げで、1年間だけ半額なら、たくさん買っておいたほうが得だから、1000枚くらい買っておくといいかなと思って。」
「なるほど!」
関市では、来年度から、家庭用のごみ袋について現在の基準枚数制限を取り払い、ごみ処理費の一部を袋の販売価格に上乗せしようとしています。ただし、1年間は経過措置として半額にします。これが今週、関市議会に提案された条例改正案です。
条例改正が可決されれば、45リットルの大袋の場合、現在の1枚6円が50円になるけれど、1年間は25円で買えることになります。年間100枚使う人の場合、1年分100枚で2500円、10年分1000枚で25000円の節約になるというわけです。
半額で買えるだけ買っておいた方が得をします。
”経過措置”を逆手にとる、”庶民の知恵”です。
全市民が経過措置の期間に10年分を半額で買いだめすると仮定すると、関市が見込んだ収入も半減することになります。市が期待するほどに収入は増えない可能性があります。そうしたら、また更にごみ袋料金を値上げするのでしょうか?
実際には、全市民がそんなに買いだめをすることはあり得ませんが、それにしても、相当の人がごみ袋を多めに購入するのではないでしょうか。ごみの削減の前に、ごみ袋代節約のための買いだめでごみ袋の品不足がおこるかもしれません。
いずれにしても、1年間は半額という経過措置は、年間収入見込みの半減では済まないことになると思われます。
もうひとつ考えなければならないことは、ごみ袋の買いだめによる節約は、限られた人にしか活用できない方法だということです。ごみ袋をたくさん買っておくには、それだけの金銭的な余裕がなければならないからです。
一部の人だけが恩恵を受けられる抜け道がある―このような仕組みが、果たして”公平な制度”と言えるのでしょうか。
1年間は半額という経過措置には欠陥があると言わなければなりません。
公平という観点から見て、もうひとつ疑問に思うことがあります。
市が提案する新しい制度では、家庭ごみ(家庭系一般廃棄物)と事業ごみ(事業系一般廃棄物)の区別がつかなくなっていくのではないかということです。
現在、家庭用の可燃物ごみ袋(若草色)は、世帯人数に応じた基準枚数が1枚6円(原価5円+取扱店手数料1円)で販売されています。基準枚数は規則で次のように決められています。
世帯人数別年間基準枚数 (可燃ごみ)
1人世帯 80枚
2人世帯 100枚
3人世帯 110枚
4人世帯 120枚
5人世帯 130枚
6人以上世帯 140枚
この基準枚数を超えると1枚300円で購入しなければなりません。
一方、事業系のごみ袋(白色)は、最初から1枚300円になっています。
家庭ごみと事業ごみを、はっきり区別しているのです。
現在でも、事業ごみを家庭用ごみ袋に混ぜてごみステーションに出すという例が皆無であるとは言えませんが、家庭ごみ用の袋に事業ごみをたくさん入れて使えば、家庭ごみ用の袋が足りなくなって、結局、300円のごみ袋を買わなければなりません。そういう形で、事業ごみが家庭ごみに混入するのを抑制する仕組みになっています。
ところが、市が提案する新しい制度は、基準枚数制限を無くして、「一律50円で、だれでも、どれだけでも、コンビニなどで買えます」という制度です。これでは、事業ごみが家庭ごみに混入するのを抑制することができません。
これは”公平な制度”なのでしょうか。
生活のためのごみの排出と、収益事業によるごみの排出を区別する現在の方法のほうが、仕組みとしてすぐれているし、”公平”だと、私には思えるのです。
基準枚数以内の家庭ごみ処理費用は無料という、関市の現在の制度は、なかなかよくできた制度だと考えています。
それを否定して、「1枚50円にするのが公平だ」という市の提案を聞くと、いったい何が”公平”なのだろうと思うのです。
***** リンク *****
広報せき(2013.3.1)記事
平成25年度用 関市指定ごみ袋の購入
今の制度の内容を説明しています。
http://www.city.seki.lg.jp/cmsfiles/contents/0000003/3688/06_07.pdf
関市廃棄物処理及び清掃に関する条例
第10条で「廃棄物処理手数料等」を定めています。詳細は別表。
関市廃棄物処理及び清掃に関する条例施行規則
第6条第3項で現在の「指定袋の作成に要する費用」の徴収を、
第10条の3で「指定袋の年間基準枚数等」を定めています。
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