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学校給食調理は直営がよい

2013-09-23

学校給食調理は直営がよい。

20日の関市議会での一般質問を振り返って、改めてそう考えています。

関市は、来年9月から、関学校給食センターの調理業務を民間に委託する方針で、開会中の関市議会第3回定例会に、民間委託の為の予算計画(債務負担行為補正)の承認を求めています。

それで学校給食が良くなるのであれば結構な話ですが、そうではありません。 

民間委託と聞くと、多くの人が「民間委託にすれば、公務員削減、行政の経費削減になるからいいことではないか。公務員の給料は高すぎるから」と、ほとんど反射的に思ってしまうのではないでしょうか。

しかし、実態を知れば、それが大きな誤解であることがわかると思います。

関学校給食センターの仕事を生き生きと伝える「広報せき」の記事を、私は一般質問で紹介しました。9月10日のこのブログの記事でも紹介しましたが、改めて下記にリンクを貼り付けておきます。

市民目線で関市を調査!! それ行け! 市民記者

関の給食は美味かった!!

子どもたちのは大きなで守られていた!

『広報せき』2011年1月1日号関の給食は美味かった!!(←クリック)

 

市民記者も”絶賛”している学校給食センターの仕事。なぜ、それを担ってきたプロ集団を解体して、民間に委託しなければならないのかと思います。

子どもたちの食を守ってきた”大きな愛”を、もっと大切にすべきではないでしょうか。


一般質問でのやりとりの一部(要旨)を紹介しておきます。

猿渡:関給食センターは大変いい仕事をしているのに、なぜ調理業務を民間に委託するのか。給食の質を維持向上させるためには、直営が望ましいのではないか。

教育委員会事務局長:関市第5次行政改革大綱において、(職員の)定員適正化計画に基づき職員の削減を推進し、民間委託を検討するという方向性が定められている中、民間委託すべきであるという判断をしている。議員がご指摘のように、現在の安全・安心な学校給食の提供については、長い学校給食センターの運営実績と経験の長い調理員に支えられていることは認識している。しかし、調理業務委託は全国的にも実施され、年と共にその傾向は高まっている。民間事業者が、より円滑に調理業務をすすめると共に、徹底した衛生管理と社員研修の実施、そして柔軟な人員配置や豊富な人材が確保されると期待している。

民間委託は、国の方針による人員削減を達成するためだと言っています。「柔軟な人員配置」というのは、民間事業者が短時間パート労働者を多用するという意味です。

猿渡:関市内を見渡す限り、学校給食を専門におこなっている業者はないように思う。関市において学校給食調理についてのすぐれたノウハウや専門知識を持っているのは、関市が直接雇用する長年の経験を積んできた職員たちであって、民間から教えてもらうことは何もないと思うがどうか。

教育委員会事務局長:確かに関市内においては、そうした専門業者はないが、公募により専門業者を選定していく。

公募すれば引き受け手があるという考えです。それはいくらでもあるでしょう。関市の隣町の学校給食調理を担っているのは、全国展開をする派遣会社です。

猿渡:現在の給食調理では、栄養士と調理員がコミュニケーションをとり、調理をおこなっている。民間委託にするとその協力体制がとれなくなる。今よりも悪い体制になることをどう思っているか。

教育委員会事務局長:確かに、(民間委託をすると)栄養士が調理員に直接指導ができなくなる。(指導をすることは)偽装請負の疑いがあり法律に抵触すると認識している。受託事業者と市の間で十分調整をはかる。

栄養士と調理員がコミュニケーションをとれなくなって、給食が今までよりよくなるとはとても思えません。

猿渡:現在35名の調理員(正職員21名、臨時職員14名)の体制だが、民間委託になると何名の体制になるか。

教育委員会事務局長:延べ60名になると計算している。そのうち、正職員は12~13名程度は当然入れていただきたいと考えている。

民間委託でパート労働者が増えるという想定です。午前中だけ、あるいは午後だけといった短時間パートが想定されています。全体として責任の重い重要な仕事が、”効率”(人件費の安さのこと)の追求のために、細切れの仕事になります。

猿渡:人件費はどれだけ安くなるか。

教育委員会事務局長:直営の現在、調理員(正規・臨時含む)の人件費は年間およそ1億5千万円だが、民間委託すると1億4千万円ほどの人件費になり、1千万円くらい安くなる。

関学校給食センターは35人の調理職員(正職員21人、臨時職員14人)で、一日8000食余を調理しています。年間200日(実際はもう少しすくないかと思いますが)とすると、年間160万食。少なくとも150万食以上は作っています。

年間150万食と仮定して、1食当たりの調理の人件費を試算してみると

直営  1億5千万円÷150万食=100円/食

民間委託 1億4千万円÷150万食=93.333・・・円/食

1食当たりの人件費がおよそ7円安くなるでしょうか。民間委託になると6.7%の人件費の削減ということです。すでに直営でも正職員を減らして臨時職員を増やしているため、民間委託の効果がもともとあまり期待できないのです。

更に、人件費以外の経費も考えれば、民間委託による経費削減は6.7%にもなりません。

なぜならば、民間事業者は人件費の他に労務管理費等の経費や企業の利益を必要とするからです。

民間委託は、たいして経費節減にならないのです。民間委託によって公務員を減らしても、それほど財政削減にはなりません。これが「行財政改革」ということになっていますが、見かけ倒しです。

そして、そこに生まれるのは非正規雇用を中心とした細切れの低賃金労働と、人材派遣会社など一部の民間会社の利益です。


 

毎日の学校給食は、子どもたちの成長に欠かせない大切な食事です。

「次の世代に借金のツケを残さない」と、市長は色々なところで強調していますが、学校給食こそ、その「次の世代」を育てるための大切な事業のはずです。

むしろ学校給食には、もっと予算をかけてもよいのではないでしょうか。

給食がよくなるわけでもなく、財政削効果もあまり期待できないのが、関市の学校給食調理民間委託の計画です。

見かけ倒しのわけのわからない民間委託をすすめるのではなく、どうしたら、もっとよい給食にできるのかということを中心に、再検討をすべきだと思います。それが本当の行政改革ではないかと思うのですが・・・。

学校給食調理の民間委託をすすめる為の補正予算は、9月27日の文教経済委員会(私も委員のひとり)で審査がおこなわれる予定です。

※後日の再確認の結果、直営の人件費は、1億5千万円ではなく、約1億4400万円であることがわかりました。詳しくはこのブログの記事「御答弁は『誤答弁」だった!」(9月26日付)、「学校給食調理の民間委託はムダの削減にならない」(9月28日付)をお読みください。(10月1日追記)


 

***** リンク *****

録画配信

平成25年関市議会第3回定例会の代表質問・一般質問

猿渡直樹の質問は9月20日の2番目です

http://www.city.seki.lg.jp/0000001807.html

平成25年関市議会第3回定例会議案

補正予算

学校給食調理の委託費が6頁にあります

https://www.dropbox.com/s/mg4163wf9kg7gb2/%E8%A3%9C%E6%AD%A3%E4%BA%88%E7%AE%97.pdf


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