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放射能汚染を広げる国と東電

2013-10-26

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キンモクセイが咲きました。



先日、原発のことで「人間は間違いを犯すものだ」と書きましたが、故意にやっておいて失敗を装い、国民を欺くのは許せません。

福島第一原発の汚染水に関する次の記事を読んで、そう思いました。

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213-10-21 岐阜新聞1面から

記事の最後の

想定の1日当たり30~40ミリを上回る1時間当たり30ミリの降雨があったため、あふれたとしている。

という部分です。

降雨の想定が「1日当たり30~40ミリ」だったなんて、そんな馬鹿馬鹿しい説明がどうしてできるのでしょうか。この想定では、汚染された雨水があふれ出すのは当然の結果です。原発事故後に使われた欺瞞的な「想定外」という言葉をまた思い出しました。

なぜ、普通ならあり得ないような非常識な「想定」がおこなわれているのか、その理由が記事に書かれていないのは、とても残念です。(突っ込みが足りないのは、遠慮しているのでしょうか?)

しかし、岐阜新聞のこの記事は、簡潔であるが故にわかりやすく、放射性物質の拡散に対する国や東電のあまりにも不真面目でいいかげんな態度をかえって浮き彫りにしています。



ずさんな汚染水対策の背景には、国と東電の、「汚染水の放射線量が基準値以下であれば海に流す」という方針があります。今はそれが「緊急避難」の策とされているようです。その線で、なんとか誤魔化して、原発汚染水対策をなるべく安上がりに済ますということです。

東電は原発事故処理に10兆円かかると言って国に資金の支援を求めているようですが、真剣にやれば10兆円では済まない、もっと莫大な費用が必要なのではないかと私は想像しています。

もしも「1日当たり30〜40ミリ」という降雨量の想定が真面目なものであって、その上での失敗ならば、私たちは日本政府と東京電力の無能さに絶望しなければなりません。

しかし、そんなことではないだろうと思います。1日30~40ミリを超える雨が降ることがあることなど誰でも知っていることです。失敗が起こることが最初から十分わかっているのに、そのような想定をしているのです。これは、”予定されていた失敗”、”計画的な汚染水漏出”と見るべきです。

このことは彼らが無能であるということでなく、私たちが期待するのとはちがう意味で有能であることを示しています。

不適切な想定で、故意に漏出問題をおこし、批判の度合いに応じてとりつくろう。そういうことを繰り返して、徐々に国民を放射能汚染に慣れさせ、飼い慣らしていくという方法がとられているのだと思います。

安倍晋三総理大臣がIOCの総会の場で、「私ははっきり申し上げる。状況はコントロールされている。汚染水の影響は原発の港湾内で完全にブロックされている」と世界に向けて語ったのは、オリンピック誘致のためのウソとしか思えません。しかし、「状況はコントロールされている」という発言が、別の意味で興味深い表現だということを今になって思います。コントロールされているのは、放射能ではなく世論であり、我々ではないでしょうか。「状況はコントロールされている」のです。



「基準値以下なら海に流す」という考え方は大変危険です。いくら基準値以下であっても、そこに含まれる放射性物質の放射能は消えて無くなりはしないからです。放射性物質が環境中に拡散するということでは変わりがありません。

原発の放射能汚染水の漏出で一番心配されているのは放射性ストロンチウム90です。

ストロンチウム90の物理学的半減期は約29年。2011年から数えると2040年に半減期になります。そこでやっと環境中に放出されたストロンチウム90の量が半分に減るということで、無くなるわけではありません。さらに29年で4分の1になり、また29年で8分の1になるというように減っていきます。今のごまかしが、後の災いになることは避けられません。私たちが考えなければならないのは、現在の安全だけでなく、未来の世代に対する責任です。

福島第一原発の1、2、3号機から大気中に放出されたストロンチウム90の推定放射能量は

1.4×100,000, 000,000,000 ベクレル

(1400兆ベクレル)

これは、原子力機構(独立行政法人日本原子力研究開発機構)が公表している数字です。

環境中に広範にばらまかれた放射性物質は回収できません。

ストロンチウム90はカルシウムと似た性質の元素であるため、動物の骨に蓄積しやすい物質として知られています。食物連鎖の中で、生物濃縮(生体濃縮)がおこり、まわりまわってやがて私たちの子孫の生存をおびやかす大きな脅威になりかねません。どうなるかはわからないのです。

事故で大気中に莫大な量のストロンチウム90をばらまいた上に、さらに放射能汚染水を垂れ流してリスクを高めることがよいはずはありません。



安倍政権にはちょうど良いタイミングで、IAEA(国際原子力機関)の調査団が日本を訪れていて、日本政府に優しい助け船を出しました。

日本は原発の事故対策をよくやっている、汚染水は海に流れても止むを得ない、もっと国民に理解を得るように努力をする必要がある、そういう趣旨のことをIAEAは言っているようです。21日(汚染水漏出の新聞記事の出た日)の夜、テレビでそのニュースが流れていました。

まるで日本国民が物分りが悪いからだめだと言われているような具合だなと感じました。

「国際的な権威が言っているのだから、汚染水対策はこれでいい」、「基準内なら海に流しても心配ない」、「基準を超えているものがすこしくらい海に流れても大丈夫だ」という世論作りです。原発推進勢力は、福島第一原発による放射能汚染の受容を日本国民に求めているのです。

IAEAは、核不拡散のために重要な役割を果たしている国際機関ですが、同時に核保有国の利益を守る立場に立っており、「原子力の平和利用」を推進しています。日本の原発存続に力を貸す立場に立っていることは明らかです。俗に”原子力村”と呼ばれている原発を守る利益共同体は巨大で強力です。


これが、脱原発を選択したドイツの科学者たちであったなら、違ったことを言ったのではないかと思います。端的に言うとそれは「希釈禁止の原則」ということです。

「希釈(きしゃく)」とは、何かが溶けている液体の濃度を薄めることです。放射能汚染水は、それがどんなに高濃度な汚染であっても、水でどんどん薄めれば、やがて”基準内”のレベルに下げることができます。「基準内なら捨てても良い」ということになれば、今増え続けている福島第一の敷地内のタンクの汚染水も薄めて少しずつ捨てればよいということになってしまいます。それでは困ります。

「薄めれば捨ててもよい」という考え方は放射性物質に関しては間違っており、禁止するという考え方、それが「希釈禁止の原則」です。日本が福島第一でやっていることは、禁じ手そのものです。

原発汚染水の垂れ流し、放射能汚染の拡大を、やむを得ないこととして国民に受け入れさせようとする政府や東電。国民をだますことが上手な原発推進勢力のインチキを見破って、私たちは、それにはっきりとノーを言い続けなければならないと思います。


日本共産党の市田忠義書記局長は、先週の参院代表質問で、「原発汚染水の現実を認め、抜本解決を最優先に」と求めました。

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日本共産党・市田忠義書記局長の参院代表質問から抜粋
(しんぶん赤旗2013年10月19日付)

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