就学援助の対象品目拡大に予算計上
2015-02-14
尾関健治市長の12日の記者会見で公表された関市の新年度予算案について、翌日の新聞の地域版に記事が掲載されました。
以下に抜粋しておきます。
関市予算案
就学援助の対象拡大
クラブ活動費や生徒会費も
歳出 就学援助には千八十万円を盛り込み、生活困窮世帯への応援を強化する。現状では給食費や修学旅行費、入学用品の購入費などが援助対象だったが、新たにクラブ活動費や生徒会費、PTA会費を対象に追加する。
中日新聞(岐阜県中濃版)2014-02-13
これは、うれしいニュースでした。
関市の就学援助の補助対象品目は、3品目の追加で以下の9品目になります。
学用品
通学用品費
校外活動費
新入学学用品費
修学旅行費
学校給食費
クラブ活動費
生徒会費
PTA会費
3品目の追加による就学援助拡充の実施は、岐阜県内では関市が6番目の自治体になります。
そのための予算額は、次のようになっています。
関市の就学援助の予算(平成27年度当初予算案)
小学校費の中に
要・準要保護児童生徒援助費 27,373千円
要・準要保護児童生徒クラブ活動費等援助費 2,436千円
中学校費の中に
要・準要保護児童生徒援助費 27,227千円
要・準要保護児童生徒クラブ活動費等援助費 8,410千円
合計65,446千円
これは、関市の教育費55億3,991万9千円の予算の1.2%を占めます。
クラブ活動費、生徒会費、PTA会費会費の3品目を、就学援助の補助対象品目とすることは、2010年に国によって示された方針です。
それが全国的になかなか進まない背景には、2005年度(平成17年度)の国による財源措置の改悪があります。
就学援助制度の対象は
要保護児童生徒の保護者(要保護者)
準要保護児童生徒の保護者(準要保護者)
に大別されています。要保護者は生活保護世帯の人、準要保護者は要保護者に準ずる人という意味です。
以前は、どちらも国が必要な予算をしっかり出すという仕組みでしたが、今は違います。文部科学省は次のように説明しています。
市町村が実施する就学援助事業のうち、国は要保護者に対して行う事業に要する経費について補助を行っています。
なお、準要保護者に対して行う事業に要する経費の補助については、平成17年度より、税源移譲を行った上で国の補助を廃止しています。
要保護者の方は他の事業に流用できない国庫補助金が使われますが、準要保護の方は不安定財源となったのです。
「税源移譲」された財源は、その就学援助に使い道が限定されず自治体の裁量で決められます。財政がきびしい自治体は就学援助を拡充するということになっていかないのです。拡充どころか、逆に就学援助の基準を改悪して準要保護の予算削減をはかる自治体もあると言われています。
つまり、国は、準要保護の就学援助の財源保障を先に取り払った上で、新3品目を就学援助の対象にしましょうと言い出したというわけです。
ずるいやり方です。そして無責任です。
その結果、全国共通の制度であったはずの就学援助制度に、市町村による格差が生じてしまっています。
これが、「地方分権」だとか「税源移譲」だとか宣伝して、国がおこなっていることなのです。
就学援助の問題は、国に財源保障をさせることがとても大切だと思います。
同時に、自治体の姿勢が試される問題となっています。
関市が就学援助を拡充する方針を決定したことを、とてもうれしく思います。
*関連記事
「就学援助の拡充」 さわたり通信 2015-01-23
http://sawatarinaoki.blog.so-net.ne.jp/archive/20150123
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