1坪700円
2015-03-10
1坪700円で300坪の農地を売りたい人があったが、買い手が付かなかった。
関市の富野地区という所の話です。
聞きまちがいかと思いましたが、そうではなくて、
坪700円×300坪=210,000円
とても安くてびっくりしました。
背の高い草が一面に生えているということで、耕作放棄地なのだと思いますが、宅地にするには、草を刈らないと農地として見てもらえず、農業委員会の農地転用の許可が下りないという話でした。
それにしても安い。
欲しいという人が現れそうなものだと思いましたが、価格だけでは取引が成立しないのが現実です。
3月9日の関市議会文教経済委員会で審査された「平成26年度関市一般会計補正予算(第9号)」の中に、土地の購入費がありました。
板取川温泉の敷地内の借地
購入費用 290万1千円
購入面積 実測613.28㎡ (公簿面積612㎡)
→ 1㎡当たり4,730円 (1坪15,600円)
この価格が高いのか安いのかという判断はむずかしいものです。
先ほどの1坪700円とくらべれば、とても高いということになります。
「山間地で平地が少ない所だから価格がけっこう高くなる」と言われれば、なるほどなと思います。
農地、宅地、山林、雑種地といった地目や、さまざまな条件によって価格がちがってきます。
購入する土地は、板取川温泉の敷地内のポンプのある区画の土地で、地権者の要望に応じて購入するものだという説明でした。
借地で温泉を汲み上げているとは知りませんでした。これは市有地にするのが適当だと思った次第です。
むしろもっと早く買い上げてもおかしくなかったのではないでしょうか。
市町村合併で関市に編入される前の旧板取村は、
板取スイス村
と称して観光振興に力をいれてがんばってきたところです。
先日の温泉の話(「続報 プレミアム商品券」の後段)で紹介した「地域観光資源管理振興事業」で、板取地域の予算が突出しているというのも、そういう背景があってのことです。
板取の観光施設は、その多くが借地を利用しているという点に特徴があります。
板取地域の観光施設の借地面積
板取川温泉バーデェハウス 13,738㎡
木工クラフト館 884㎡
コテージ湯屋 9,638㎡
かおれ渓谷のトイレ・駐車場 832㎡
以上の合計 25,092㎡ (約7,600坪)
関市は、これらの借地料を合計で約400万円(年額)支払っています。
そのうち
板取川温泉の借地料は、216万2千円
今回の購入によって
借地料は年に11万7千円の減となる
仮に借地を全部買ったら、いくらになるのでしょう。
1㎡当たり4,730円で試算すると
板取川温泉の借地購入に必要な金額
4,730円×13,738㎡=64,980,740円
温泉を含む借地全体の購入に必要な金額
4,730円×25,092㎡=118,685,160円
温泉の借地は約6千5百万円、借地全体で1億2千万円くらいになります。
一般的な話として、土地を長く使うのなら借地より購入の方が有利になると思いますが、関市は板取地域の借地を順次購入するということになっていません。
今回の場合も、板取川温泉の駐車場用地の部分についても買ってほしいという要望が地権者からあったのだけれど、そちらは購入を見送ったとのことでした。
借地の購入にどれだけ公費を投入するかということに迷いがあるのです。
平成17年の市町村合併以来、関市の既定方針は
温泉施設を民間に売却する
ということになっています。
ところが、借地については「構造物のある部分の借地については地権者からの要望があれば購入する」というのが、今のところの方針です。
これでは温泉施設を売却するときに支障があるのではないかと思います。
しかし、当面の問題としては、借地のことよりも経営難のほうが大きな問題で、「事業再建」が行政課題となっています。
温泉の売却はとてもむずかしい課題です。
関市の温泉は、もともと民間では成り立たないから旧町村が公費で整備したものなのです。そこを出発点にしないと、温泉の売却問題はいつまでも結論が出ないのではないかと思います。
東京湾岸(2014年11月)
このあたりの土地の価格は見当がつきません
関連ページ
「続報 関市のプレミアム商品券」
さわたり通信 2015-03-04
http://sawatarinaoki.blog.so-net.ne.jp/2015-03-04
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