子どもの甲状腺がん86人、「疑い」含め109人
2015-03-13
福島県の双葉町と大熊町に、放射能に汚染された土壌や廃棄物などの中間所蔵施設が置かれるという今朝のニュース。
ふるさとを奪われた方々の無念はいかばかりでしょうか。
福島第一原発の事故は根本的には何も解決していないように思います。
可能な限り汚染物を集め、危険性を低減させる努力がおこなわれています。
しかし、目にみえない放射性物質は今も、静かにゆっくりと環境中に広がりつづけているのではないでしょうか。
安倍首相は「放射能は完全にコントロールされている」と、東京オリンピック招致で世界に向かって豪語しましたが、それはまったくの偽りで、「コントロール」は不十分です。
先日のさよなら原発の集会・パレードで、「福島で子どもの甲状腺がんが増えている」という話をききました。
それで色々な記事を読んでみました。
以前、「原発事故と小児甲状腺がんの多発」という記事を自分で書いたことを思いだし、福島県の調査資料があるはずだと思いました。
最新の資料をさがして以下のことを確認しました。
福島県の子どもの甲状腺検査で、
検査結果の確定した297,046人のうち、
86人(震災当時6~18歳)が
甲状腺がんと確定診断されています。
(2014年12月31日現在)
異常な事態がおこっています。
これが「福島第一原発の事故と関係がない、放射線内部被ばくと関係がない」と考えるのは不自然で、不合理です。
放射線内部被ばくによる健康被害が心配されている福島県では、「県民健康調査」をおこなっています。
その中で子どもの甲状腺がんについて調べています。
第18回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成27年2月12日開催)
この資料の「3-⑤」ページに次のことが記載されていました。
細胞診を行った方のうち
110人が「悪性ないし悪性の疑い」の判定
110人のうち、これまでに87人が手術を行った
手術後の病理診断の結果、1人が良性結節、86人が甲状腺がんと確定診断されている
110人のうち、甲状腺がんでなかったと確定したのは1人だけです。
したがって、
甲状腺がんまたは甲状腺がんの疑い109人
内訳 甲状腺がん 86人
甲状腺がんの疑い 23人
2013年8月の時点では、「甲状腺がんまたは甲状腺がんの疑い 43人」(手術の結果「良性結節」とわかった1人を除く)でした。約2.5倍に増えています。
297,046人のうちの109人から計算すると、
福島の子どもの
「甲状腺がんまたは甲状腺がんの疑い」は
2,725人に1人
ということです。
国立がんセンター「がん統計」による甲状腺がんの発生率を見ると、
0~19歳の甲状腺がん罹患率(発生率)は、
2007年 10万人当たり0.25人
2008年 10万人当たり0.3人
※どちらの年も0~4歳の発生率はゼロです。
言い換えると
子どもの甲状腺がんの発生率は
100万人に2~3人
「発生率」は、積極的に子ども全員を調べようとしたものではないので、単純比較はできないそうですが、「2,725人に1人」の深刻さがわかります。
関連ページ
原発事故と小児甲状腺がんの多発
さわたり通信 2013-08-31
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