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キジ イノシシ サル シカ ヌートリア

2015-04-09

「鳥獣被害がひどいので実情をみてほしい」

という連絡をいただき、昨日、上之保・武儀地域を訪ねました。

行く途中、武儀地域の生涯学習センターと津保川診療所を過ぎ坂を下りた辺りでキジ(雉)を見ました。ニワトリかと思ったのですが、よく見ると雄のキジでした。

とっとことっとこと小走りで、私の車の前を横切って道を渡っていき、道の脇の山の中に入っていったのです。「なんで飛ばないのか、危ないのに」と見送りました。キジのほうでは、「なんでこんなところを車が通るのか」と思っていたかもしれません。

最初に上之保地域のいちばん奥の集落まで行きました。

シカによる被害が深刻だということを知りました。

上之保 シカの来る庭 2015-04-08.jpg

家の前の庭に菜の花が咲いていました。

その手前の茶色いかたまりはツツジ。若芽がきれいに食べられてしまって、その下から新しい芽が出始めています。

お話をしてくださった85歳の女性が

「うちは庭木の選定をせんでもいいんやよ」

と笑って言われるので、私もつい笑ってしまいました。

菜の花の周りの囲いもご自分で作られたそうでご苦労がしのばれます。


 

上之保 シカの来る庭と池 2015-04-08.jpg

軒下の犬走りに接して植えてあるツツジも食べられてることが上の写真でわかると思います。大きな角をもったシカがこんなところにまでやってきて食事をしていくのです。玄関前のナンテンを食べるシカの姿を家の中から見つけて、追い払ったこともあるそうです。シカはチューリップの花も好きで、ぱくぱくと食べてしまうとか。毒があるからかスイセンは食べません。

ツツジの横の緑色の網は池をおおっています。これも防護のためです。以前、この網に穴があいていたとき、40~50センチの鯉が引き上げられかじられていたそうです、たぶんヌートリアの仕業だという話でした。

昼はサル、夜はシカ。サルは追い払うのがむずかしいそうです。

上之保 手作りのサル防護柵 2015-05-08.jpg

これだけしっかり囲った畑にもサルがどこからか侵入することがあるとのこと。

その後、何軒ものお宅でお話をうかがいました。

自家用に植えたジャガイモの苗やニラ、ニンニクまでもシカが食べてしまう。

以前は山ほどとれたタケノコも食べられなくなった。

タケノコの芽が出るか出ないかという頃にイノシシがやってきて掘り返して食べ、出てきたタケノコをサルが食べ、少し伸びるとシカが食べる。更に伸びて背丈が高くなったものはサルがゆすって折ってしまい先の柔らかいところを食べる。

そんな具合だという話でした。

あちらでもこちらでも電気柵で田畑を守っています。


上之保 電気柵 2015-04-08.jpg

このあたりの電気柵には年に4~5頭くらいのシカが「ひっかかる」そうです。役所に届けを出すと有害鳥獣の駆除ということで1万円の報奨金が出ます。話をうかがっているうちにその方が高校の同窓生のおかあさんだということがわかりました。

「シカ肉は食べるんですか?」

と尋ねると、

「シカ肉っておいしくないんでしょ?」

と逆にきかれて、そうでもないですよという話をしました。

一昨年の夏、郡上で獲ったシカをもらってきて解体したという方から、何キロもありそうな骨付きのモモ肉の大きな塊をもらったことがありました。骨をはずすのに苦労しましたが、カレーに入れたり、ブドウや干しイチジクと一緒に煮込んだりしておいしくいただきました。

しかし、シカを食べると言っても解体が大変です。電気柵にひっかかったシカを欲しがる人もなく、処分されるそうです。ヨーロッパでは高級食材だと聞きますが、当地では生かされておりません。

「雉も鳴かずば撃たれまい」と言いますが、今は雉や鹿が鳴いても撃たれないのです。鉄砲猟師の資格をもつ人が地区に1人しかいなくなってしまったので、仕方がないから自分は「わな猟」の資格を取得したという方もありました。

武儀地域では、5年ほど前にシカに田を荒らされて、自家用米の収量が一反あたり3俵になってしまい、いやになってしばらく田んぼを休んだという方がありました。電気柵をつけて再開したそうです。田畑を守るには今のところ電気柵がいちばん有効なようで、行政の設置補助はありがたいということでした。ただ、場所によっては電柱や電線などを利用して電気柵を乗り越えるサルもあるそうです。


動物たちは私の想像以上に人の暮らしのすぐそばにまでやってきていました

庭に鹿が来る-と聞けば、町に暮らす者は牧歌的な雰囲気を思い浮かべますが、「庭先に大きな角のシカが来るとこわい」と思いながら、お年寄りが暮らしています。「こわい」、「困った」という思いは、「住んでみなければなかなかわからないと思いますよ」と教えていただきました。山里の暮らしは、動物たちとのたたかいの場の様になっていると感じて帰って来ました。

「有害鳥獣対策」は、すでに様々な対策が行われていますが、「取り組みの強化が必要だ」と市議会でも話題になりました。今後、何をどうするとよいかという具体策が問題です。

折しも県議選の最中で、2台の候補者カーを見ました。選挙カーのスピーカーの声におどろいて動物たちも逃げていくだろうかと思ったりしました。

午後、朝にキジを見た場所を通ったら、今度はキジが山から田んぼの方に向かって低空飛行で道を横切るのを見ました。やはり雄のキジでした。どうもあの辺りに住みついている様子でした。むろんただの偶然だと思いますが、2度も姿を現したあの雉は私に何かを伝えようとしていたのだろうかとも思いました。

美濃加茂市では「ヤギさん除草隊」のヤギが昨年8月に盗まれ食べられてしまったという事件があったと今日の岐阜新聞で読みました。関市でシカを獲れば喜ばれたはずです。

 

上之保 正洞の一本桜 2015-04-08.jpg

 

正洞(しょうぼら)の一本桜

上之保地域の津保川のほとり

姿が美しく目にとまりました

かつて護岸工事がおこなわれた際に

「切らないでほしい」と

この地区の人たちが署名運動をして残した

大切にされている桜

地元の加藤さんにそう教えてもらいました


 

***関連ページへのリンク(2015-04-10追加)***

さわたり通信

「最後の地域審議会」

※関市富野地区西神野のサルのことに記事の後段で触れています

http://sawatarinaoki.blog.so-net.ne.jp/2015-02-07


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