SSブログ

川のほとりの案山子は鉄砲を持っている

2015-05-15


昨日の早朝に漁協の支部長さんにたまたま出会い立ち話をしました。ひとしきり話をした後で、

「これから川に案山子(かかし)を立てに行く」

と支部長。

「案山子ですか・・・・・?」

田畑ならわかりますが、川の岸辺に案山子を立てるという話は予想外で、ちょっと面食らってしまいました。

恥ずかしながら私も漁協の組合員の端くれです。どんな案山子だろうと思いながらその足で津保川(つぼがわ=長良川の支流)まで行って、少しお手伝いをしました。

 

image.jpg

 

この案山子は鉄砲を持っています。

厚みのある合板を切り抜いたものに猟銃を持った人の姿が描いてあるのですが、なかなかよくできています。

先日の台風6号の接近で水辺のこの案山子が流されるのを心配して一旦撤去したとのことでした。これから梅雨時に増水してもよいように、今回は岸から少し離して立木に縛り付けました。

カワウ(川鵜)を追い払うための案山子です。

「これがけっこう効果があるようだ」

ということでした。

案山子のところに集まった4人で、またしばしの談義。


 

鵜飼につかわれる鵜はウミウ(海鵜)で、カワウ(川鵜)はそれよりもやや小型の水鳥です。

長良川中央漁協の関支部で津保川下流域の漁場を管理しており、案山子を立てた辺りは「友釣専用漁場」です。毎年この時期にはカワウ対策に力を入れています。放流したばかりの稚鮎が友釣り解禁前に食い荒らされるのを防ぐためです。

組合員の有志が交代で、毎日のように早朝の川の見回りをしています。カワウを見つけるとロケット花火を打ち上げて追い払います。

私も以前にやったことがありますが、その時はピストル型のロケット花火発射装置を当時の支部長からお借りしました。ピストルの銃身の筒になっているところにロケット花火を差し込んでライターで点火し、カワウめがけて発射するのです。発射の際に手をやけどしないよう装置が工夫されています。花火がカワウの近くで破裂すると驚いて逃げていきます。

実用的な飾りのない装置もあるし、ライフル銃みたいなものを作った人もあるとか。ここがおもしろいところで、頼まれもしないのに、どうもみなさんそれぞれ工夫して発射装置を手作りしているみたいです。釣りの仕掛けに各々工夫を凝らす姿をほうふつとさせます。

去年の場合でいうと延べ90人以上が早朝から津保川に出かけ、カワウを追い払うために奮闘をしました。一生懸命にカワウを追い払っているのです。

最近のロケット花火は安い輸入物で粗悪品が多いという話を聞きました。

Mさんが「5本のうち2本は不発や」と言うので、「いくら何でもそれはちょっとひどすぎる」という話をしているとき、丁度、一羽のカワウが飛んで来て川下に降りました。

皆が見守る中、支部長がロケット花火を発射しました。パァーンと音を立てて破裂しましたが、距離が遠すぎてカワウは逃げていきません。支部長は続けてもう一発を発射。ロケット花火はシューっと音を立てて勢いよく飛んでいきました。しかし、それっきり。何も音がしなくてどこへ飛んでいったのかもわからなくなりました。不発でした。もちろん遠くのカワウは知らん顔をして水に潜ってエサをとっていました。

 

image.jpg

 

 

このように川の水面近くに黄色い糸を張り渡してあるのも、カワウ対策です。「防鳥糸(ぼうちょうし)」と呼んでいます。案山子も防鳥糸も「河川占用許可」を受け、標識を掲示しなければなりません。

 

image.jpg

 

防鳥糸を張るのはなかなか大変な仕事です。

水が冷たい時期に、誰かが川を渡って糸を両岸に結びつけなければなりません。今年も川の中で2人が足をすべらせてずぶ濡れになったそうです。それだけ苦労して設置しても、釣りの邪魔になるので、6月1日の鮎の友釣り解禁の前には撤去します。それに比べると、案山子はずっと置いておくことができます。

「来年は案山子を増やそう」という話になりました。

 

image.jpg

 

朝7時頃、川縁(かわべり)を走る人。

 

走っている人はカワウのことなど考えていないと思うのですが、こんなふうに走ってもらえるのはありがたいことです。

人が川のそばを走ればカワウは逃げていきます。

でも人が来ない早朝、明け方からカワウがやってきて盛んに魚を食べるのです。

最近では「カワアイサ」という水鳥も出没しているそうです。これがまた難敵だという話でした。

鳥獣被害とのたたかいは川でもずっと以前から続いています。

もっとも私たちの川の漁業組合は大部分が釣り好きの集まりで、職業として漁をする人はほとんどいなくなっています。漁業組合も高齢化が進み、組合員数が減少していて、先行きを心配しています。

 

image.jpg

 

河原の草むらの中に咲いていました 

キショウブ(黄菖蒲)でしょうか

環境省の「要注意外来生物」?

 

この辺りにはキツネもいると聞いてびっくりしました


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。