関市は「避難想定ゼロ」でいいのか
201し3-06-04
他会派の市議から、
「さわたりさん、岐阜新聞見んさったか?」
と、市役所で声をかけられたのは一週間前の5月28日でした。
「原発問題の記事が載ってるから、さわたりさんに言わないかんと思っとったんや」
とのことでした。
その日の岐阜新聞は、市民団体「さよなら原発・ぎふ」がおこなった自治体アンケートの結果を報じていました。
福井県敦賀原発で福島第一原発のような事故がおこった場合の最悪のケースでも、
関市の「避難対象人口」は「ゼロ」という回答になっていました。
これには唖然としました。
「風が変われば結果も変わるのに」
と、記事のことを教えてくれた議員さんも納得しかねる様子。
私が3月議会で訴えたことは、見事に無視されました。
県が原子力災害対策強化地域に指定した25市町の中で、
「ゼロ」と回答したのは関市だけです。
考え得る中で、最低の、恥ずかしい回答です。
昨年、岐阜県は「放射性物質拡散シミュレーション結果について」を9月に、その追補版を11月に発表しました。
福島第一原発と同レベルの大事故が福井県敦賀原発でおこったら、どんな影響が岐阜県にあるのか調べたものです。
※詳細は、下記の岐阜県のホームページを参照してください。
http://www.pref.gifu.lg.jp/bosai-bohan/bosai/nuclear/simulation.html
全部で28ケースのシミュレーション。
その中で、関市に一番大きな影響を与えると思われるのが、「追補版」に示された次のケースです。
3色に塗り分けられています。
関市はV字型の地形の折れ曲がる部分がピンク色になっています。
ここが関市の人口が最も集中する関地域(市町村合併前の旧関市の区域)の中心部です。
ピンク色になっている部分の居住人口は、
危機管理課に推計してもらったところ7万2396人。
関市の人口9万2476人(5/1現在)の8割近くです。
ピンク色の意味は、「外部被ばく実効線量」が、
「年間10ミリシーベルト以上20ミリシーベルト未満」
になる地域という意味です。
「20ミリシーベルト未満だから避難対象人口はゼロ」
と関市は考えているのです。
福島の事故で国の基準で「計画的避難地域」(おおむね1月以内に避難する地域)が、
「年間20ミリシーベルト以上」の区域とされたからです。
図では濃いピンクの区域が「計画的避難地域」に相当するのです。
(濃いピンクというより赤色に近くなっています。上記の図は少し調整してあり、元の図より色が濃くなっています。)
「シミュレーションで、計画的避難区域に相当する部分に関市の居住人口はない」
だから、
「避難対象人口はゼロ」
というのが、関市の回答の意味です。
言い換えれば、
「県が想定した28ケースしか起こらない」
と考えていることになります。
あきれた話です。
そんな想定はあり得えません!
こういうことを無数に積み上げた結果、どういうことになるかというと、
それが「原発安全神話」の復活になるのだと思います。
決して軽視することはできません。
関市の南西方向に隣接するのが岐阜市。
岐阜市では、全人口の41万3136人を避難対象人口と回答しました。
その理由を「避難でも想定外があってはならない」と岐阜市は説明しています。
関市とは正反対です。
岐阜市が「全人口」で、関市が「ゼロ」。
まるで、両市の境に、放射能を防ぐ目に見えないバリアがあるかのようです。
ゼロ回答の関市の行政は、危機意識もゼロと言わなければなりません。
シミュレーション結果の意味を理解できない振りをして、
手遅れになった後に、「想定外だった」とでも、言うつもりなのでしょうか。
「原発は安全だから避難など考えなくても大丈夫」
関市のゼロ回答は、そう言っているみたいではありませんか?
この関市の態度には、がっかりです。
でも、あきらめません。
先週の土曜の午後の「”トトロ”の森パレードin関」。
沿道の人が家の前に出てきたり、手を振ったりして、激励してくださいました。
「原発なくせ」は、みんなの声です。
関市がもっと真面目にこの問題を考えるよう訴えていきたいと思います。
昨日、市議会定例会が開会し、議案上程がありました。
今日は、一般質問の要旨を通告する日です。
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