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自民党改憲草案は品がない

2013-06-17

昨日、著名な憲法学者である森英樹さん(名古屋大学名誉教授)の講演会がありました。

九条の会せき憲法学習会 森英樹氏講演 2013-06-16 TS3K0459.jpg

「九条の会・せき」の主催で開かれた憲法学習会です。 

森英樹さんは、古希(70歳)を迎えられたそうですが、講演依頼がいっぱいあるそうです。「古希になって、こき使われています」と会場を笑わせました。親しみやすい語り口調で、安部首相の下で進められようとしている改憲の動きと自民党改憲草案の問題点を、わかりやすく解説してくださいました。とても書ききれませんが、その一部を自分の感想と共にお伝えしたいと思います。

安部首相は、民主党の公約違反を批判し、「自民党は公約を守る」と言っています。

その自民党の公約を示す、安部首相の顔写真の載ったリーフレットのしまいのほうに、小さく「改憲」が書き込まれているそうです。

参院選挙が終わったら、大々的に改憲へと動き出すでしょう。それが自民党の「公約」ですから。

日本国憲法は、かつてない危機に直面しています。

みなさんは、日本国憲法と自民党改憲草案を読み比べたことがありますか?


自民党の改憲草案、正式には「自民党憲法改正草案」は、自民党が野党であった昨年の4月に公表されました。安倍政権が復活してから、一通り読んでみましたが、感じたのは、強烈な違和感でした。共感できる改正内容が、ひとつもありません。とてもひどい内容だと思いました。

全文はとても長いので、ここでは憲法の精神を示す「前文」を紹介しておきたいと思います。

自民党改憲草案の前文と、日本国憲法前文を読み比べてみてください。

 自民党憲法改正草案前文 001 - コピー.jpg

 ↑ (クリックで拡大表示) 自民党憲法改正草案(現行憲法対照) 森英樹さんの講演で配付された資料の一部です。


森英樹さんは、作家の池澤夏樹さんの指摘を紹介しました。自民党改憲草案の前文には「高校生でもしない作文の過ち」があると指摘されているそうです。どこかわかりましたか?

答えは、第二段落です。詳細を知りたい方は、池澤夏樹さんが朝日新聞に書いた「(終わりと始まり)憲法をどう論じようか」(2013年5月10日)をお読みください。(上の「池澤夏樹さんの指摘」をクリックするとリンクが開きます。)


自民党改憲草案では、現行憲法の「前文」は、全文が破棄され、短く書き直されています。

「気色のわるい文章」と、森英樹さんは、これを評しました。

まったく、同感です。

改憲草案の前文の本質について、森英樹さんは、現行憲法と比較して3つの指摘をしました。

1つ目は、現行憲法の前文は、主語が「日本国民」であるのに対し、改憲草案は、「日本国・国家・我が国」が主語になっているという点。

2つ目は、「国際協調」が「国土防衛」に変わっている点。

3つ目は、「平和的生存」が「経済活動による国の成長」に置き換えられている点。


「総じて普遍的理想を捨て、『自国のことのみに専念』する内容になっている」

という森英樹さんの解説を聞いて、自分が感じた強烈な違和感の核心がそこにあるのだと思いました。

日本国憲法前文は、「われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」と述べています。

ところが、自民党改憲草案の前文が示しているのは、「国家」や「国土防衛」、「活力ある経済活動」による「国の成長」であり、「自国のことのみに専念」しようとする姿勢そのものです。

「気色の悪い文章です。国を守る話ばっかり。日本のことしか、経済成長しかない。実に品がない文章です。」

森英樹さんの言葉を、私は深くうなづきながら聴きました。

「第1次安倍内閣の九条改憲を押し返した『九条の会』は、今回も堂々と迎え勝つ!」

と、力強いメッセージで、森英樹さんは講演を締めくくりました。


 

日本国憲法を、自民党が思うように変えさせるわけにはいかないと、改めて思います。

有権者がその意思を示す参院選が近づいています。

日本共産党岐阜県委員会は、選挙区に鈴木正典(まさのり)さんを立てることを決めています。比例では、現職の井上哲士(さとし)さんを国会に送り出すことを目標にしています。

井上哲士さんは、参議院憲法調査会の委員の1人で、護憲の立場でがんばっている党の参院国会対策委員長です。

昨日は、岐阜市で、「鈴木まさのり事務所」の事務所開きがありました。井上さとし参議院議員も駆けつけました。

その様子を、小森よしなお議員がブログで伝えています。


*リンク

小森よしなおブログ http://yosinao.blog.ocn.ne.jp/ 

井上さとしホームページ http://www.inoue-satoshi.com/

鈴木まさのりホームページ http://suzuki.jcpweb.net/


最後に、森英樹さんの紹介を載せておきます。(講演会資料から転載)

森英樹:1942年生まれ・京大卒・名大法学部教授・法学部長・副総長を経て龍谷大学教授を2011年退職。この間、ハイデルベルク大学客員教授・学術会議会員等を歴任。現在、憲法会議代表委員・日本民主法律家協会理事など。


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